引越しという言葉の意味

普段、何気なく使っている言葉の中で「この言葉の由来って何だろう?」と疑問に思うものがあるはず。
「引越し」もその中のひとつではないでしょうか? 
住んでいる場所を他のところに移すことをなぜ「引越し」というのか、
その由来についてご紹介します。

そもそも引越しとは?



「引越し」とはどのようなことを指すのでしょうか? 意味を辞書で調べると、 「引っ越すこと。転居。移転。」とあります(出典:デジタル大辞泉)。住居や活動する場所を他の場所へ移すことをいい、 住居の場合は「転居」「転宅」、事業所などの場合は、「移転」と呼ぶこともあります。 「家移り(やうつり)」や「宿替(やどがえ)」と言う地方もあるようです。

「引越し」のことばの由来とは?

<古くは飛鳥時代にさかのぼる!?>

「移転」「転居」「宿替」などは、使われている漢字から、住居が違う場所に変わるということを イメージできます。しかし「引越し」の場合、住まいが変わることをイメージさせる言葉は使われていません。 「越」という字からは、山や川を越えてくるということが想像できなくもありませんが、 「引」という字は住居の移動とは全く関係のない言葉のように感じる人もいるのではないでしょうか。

それでは、「引越し」の言葉の由来はどのようなものなのでしょうか?  諸説あるようですが、古くは飛鳥時代にさかのぼるという説もあります。 身分が上がり屋敷を移動することを「引き越え」と言ったそうで、 この習慣が「引越し」という言葉のはじまりと考えられているとのこと。

この「引き越え」が「引越し」という言葉に変わったのは、江戸時代頃からと考えられています。 広く庶民の間で「引き越す」という言葉が使われるようになり、それが「引越し」と名詞化されたのだとか。

<「引き越す」が「引越し」になった説も>

その他にも、物を引っ張り、障害となる物の上を超えさせるという意味で使われたという 「引き越す」が「引越し」という言葉に変わったという説もあります。 確かに古い時代の引越しでは、家財道具などの大荷物を荷車に乗せ、引いて歩いたことでしょう。 「越す」は山や川を越えて向こう側へ行くという意味があるため、 「引き越す」が「引越し」に変わったという説も説得力があります。

また、「引っ越す」の「引」の意味についても、二通りの説があります。 ひとつ目の説が、「荷車などに乗せ、引いて荷物を遠くまで運んだから」という説。 もうひとつが、「引」という漢字が「引退」「身を引く」といった"退く"という意味があることから、 現在の住まいを退き、別の場所に移動するという説です。

江戸時代頃から「引越し」という言葉が使われ始めたことは明らかになっていますが、 正確な語源はまだ未詳のようです。



昔の引越しとは?

<江戸時代の引越し>

現在、引越しする手段としては「引越し業者へ依頼」「運送業者に依頼」「友人や家族の手を借りる」などが挙げられますが、 引越し業者に依頼する人が圧倒的に多いのではないでしょうか。 引越しには、荷造りや運搬、新居への家具類の設置などさまざまな作業が必要となってきますが、 専門のノウハウを持つ引越し業者であれば、煩雑な作業もスピーディにていねいに行ってくれます。

それでは、「引越し」という言葉が使われはじめた江戸時代の引越しはどのようなものだったのでしょうか。

長屋など借家に住んでいる人の場合、それほど引越しは大変ではなかったと考えられています。 当時の長屋は、家具一式はもちろん、畳や建具を付けず、何もないがらんどうの状態で貸す「裸貸(はだかがし)」が一般的でした。 家具類はどうするのかというと、引越し先の道具屋から、必要なだけの古家具や畳を購入するのです。 当時の長屋は、「畳割」といって、畳の大きさを基準として建てられていたため、建具類や家具もそれに準じて規格化されていました。 そのため、どの長屋でも問題なく使え、すぐに新生活を始めることができたのです。

また、当時はレンタル制度がとても充実していました。衣類やふとん、家財道具など何でも貸してくれる損料屋(そんりょうや)があり、 必要な期間、必要な道具だけ借りることが一般的だったのです。 もしも次に引越しが決まったら、借りていた家財道具は返却すればいいので、荷物が必要以上に増える心配もありませんでした。 たんすなど大きな家具類は道具屋で売却するので、大荷物を持って次の住まいに移動することもなかったのです。

借家住まいの場合、比較的楽であった引越しですが、裕福な人の場合はそうはいかなかったようです。 財を蓄えた商人たちは、より日当たりのいい場所や高台などの土地を求め、引越しをするようになります。 一般庶民のように、家具は古道具を買う、家財道具はレンタルで……ということはなく、 職人に作らせた家具類や高価な焼き物などを所有していたため、運ぶ荷物の量は相当なものだったでしょう。 当時は、現代のように荷物を大量に積めるトラックなどなかったため、荷車に荷物を乗せ、人力で新居に運んだのです。

<昭和初期ころまでの引越し>

家具類を自分たちで持つようになっても、基本的に引越しは人力を使って行われました。 昭和初期ころまでは、荷物の運搬に大八車(だいはちぐるま)が大活躍。また、リヤカーが使われるようになると、 リヤカーに荷物を積み、自転車やオートバイで運ぶといった方法がとられるようになりました。 平坦な距離での移動ならいいのですが、坂道で荷物が多い場合は家族や近所の人が総出で押して運んだようです。

<引越し業者が誕生するまで>

自動車が普及しはじめたのは1960年代。そのころになると、引越しにトラックを使うことが一般的になります。 運送業者が業務の傍ら、引越しの荷物を運ぶことを始めたためです。 それまで人力で行っていた荷物の運搬が楽になり、遠距離の引越しも可能になりました。

ただし、今のような引越しに関する作業をトータルで行う引越し業者が登場するのはまだ先のこと。 当時の運送業者は、トラックの貸し出しや、車を運転することだけが主な仕事でした。 今とはサービス内容や質が全く違っていたのです。そのため、家具の梱包はもちろん、トラックに荷物や家財道具を積み込んだり、 新居への荷物の搬入・設置をするのは家族の仕事でした。力仕事も多いため、 親戚や友人・知人・近隣の人など大勢の人の手を借りて行いました。

引越しに特化した業者が登場するのは、1970年代半ばのことです。 次第に作業を効率的に進めるためのノウハウが蓄積され、サービスの質も上がるようになりました。 今、引越し業者のほとんどが、梱包から家具類の養生、荷物の搬入・搬出、家具類の設置、荷ほどき、ハウスクリーニングまで、 トータルに行うサービスを提供。「引越し時には引っ越し業者を利用する」と考える人が圧倒的に多くなっています。



引越しにまつわる風習

<引越しそばの由来>

これまで、引越しという言葉の由来や意味、引越しの歴史について解説してきました。 次は、古くから伝えられている引越しにまつわる風習や習慣について説明しましょう。

「引越しの時には、引越しそば」という言葉を聞いたことはないでしょうか。 家族のほか、親戚や近隣の人々など、大勢の人の力を必要とした昭和時代の引越しのイメージから、 「引越し後の苦労をねぎらう」ために新居でそばをふるまうことを思い浮かべる人も少なくないようです。 しかし、引越しそばは年越しそばとは異なり、引越しをした後に新居でそばを食べることではありません。

引越しそばが始まったのは、江戸時代の江戸だと言われています。 当時も現在と同じように、引越しの際に近隣に「そばに越してきました」という挨拶を行っていました。 その時に配ったのが、「細く長いおつきあい」「末永くおそばに」という意味を込めたそばでした。 「そばに引っ越してきました」という意味合いもあったと考えられています。 向こう三軒両隣の5軒にはせいろ二枚ずつ、大家には五枚の蕎麦を配っていました。 もともとは小豆を使ったお粥や餅を配っていたようですが、ちょっとした引越しの挨拶なのに丁寧すぎるということから、安価なそばが選ばれたようです。

現在は、保存がきく「乾そば」が多く用いられていますが、当時のそばというと、「ゆでそば」「生のそば」が一般的でした。 当時は今のように衛生事情がよくなく、食品の加工技術もそれほど発展していなかったことを考えると、時間によって劣化がおこることも考えられます。 そのため、「蕎麦切手」といったそばに換えられる商品券を渡していた、という説もあります。

<各地の引越しそば>

引越しそばを配る姿は今は姿を消しつつありますが、 その一方、まだその土地ならではのさまざまな引越しに関する風習が残っています。

名古屋では、「嫁入りの引越し荷物を積んだトラックは、どんなことがあってもバックしてはいけない」とう風習があります。 バックは「出戻る」をイメージさせるため、縁起が悪いからというのが理由だそう。 細い道で対向車と出会ってしまい、すれ違うことができない場合は、謝礼を払って相手に道を譲ってもらうとのことです。

関西の一部の地域では、「引っ越し前に鏡を家に運び込む」という風習が残っています。「鏡には女性の魂が宿っている。 その鏡を主人の手で家に運び込むと夫婦円満が保てる」「女性の美にかかわる道具であるため」など諸説あるようです。

讃岐うどんの名産地である香川県では、「引越しそば」ならぬ「引越しうどん」を食べる風習があります。 うどんを近隣に配るのではなく、引越しが終わった後に家族みんなで食べるのだそう。 さらに、家の主人は風呂に浸かりながら食べるのがきまりと言われています。

まとめ
「引越し」という言葉の意味や歴史、それにまつわる風習などを紹介してきましたが、 いかがでしたでしょうか。引越し先で、近隣の人々とよい関係を築きたいという考えが古くからあることが、 引越しそばの歴史からもわかります。現在も引越しを機に、ご近所とよりよい関係が築けたら素敵ですね。

そのためには、最初の印象が大切。荷物を新居に搬入する段階から、近隣の迷惑にならないような行動を心がけましょう。 経験が豊富な引越し業者であれば、近隣に配慮した引越しが実現できそうです。

アクティブ感動引越センターでは、これまでファミリーや単身、法人など様々な引越しを手がけてきました。 予算や要望に応じて、ぴったりな引っ越しプランを提案させて頂きます。引越しに関するご不安なこと、 分からないことがあれば何でもお気軽にご相談ください。引越しのプロがご希望を伺いながら親身にお答えいたします。